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第48話 屋根の下の礼状

last update publish date: 2026-09-24 21:44:17

雨の匂いがしていた。

 まだ降ってはいない。

 けれど、朝の空は低く、王都の石畳には湿った風が這っていた。

 南区孤児院へ向かう馬車の窓から、リリアナは何度も空を見上げた。

「今日、降るかしら」

「午後には降るでしょうね」

 エレノアが答えると、リリアナは少しだけ肩を縮めた。

「屋根、大丈夫かな」

「だから確認に行くのよ」

「うん」

 リリアナは膝の上の布包みを押さえた。

 中には、孤児院へ届けるための窓布用の留め紐、針、簡易記録用紙、そして子供たちへの小さな焼き菓子が入っている。

 焼き菓子については、持っていくべきか少し揉めた。

 リリアナは「子供たちに喜んでもらいたい」と言った。

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